コンタクトレンズが初めての方に、疑問を検査員が丁寧に解説します。
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コンタクトレンズが初めての方に、疑問を検査員が丁寧に解説します。
これからコンタクトレンズを始めようという方、いろいろ不安があると思います。
- どんな種類がいいのか
- 価格はどのくらいなのか
- つけはずしはできるのか
- トラブルがおきたらどうしよう
- すぐに慣れることはできるの
もっといろんな疑問があるかもしれません。
今回は、眼科で視力検査やレンズフィッティング、レンズに選定をしているぼくが、直接現場でよく聞く、「コンタクトレンズが初めての方」の質問をまとめて解説していきたいと思います。
コンタクトレンズのメリット
コンタクトレンズのメリットはメガネと比較すると分かりやすいと思います。
素顔の魅力
メガネと違い、コンタクトレンズは素顔のまま視力矯正をすることができます。
メガネフレームが邪魔をしないので素顔の魅力が発揮できます。
特に学生の女の子なんかは、性格も明るくなったり、オシャレに目覚めたりすることも。
視界が広くなる
メガネでは視野の角度は約120度といわれますが、コンタクトレンズならその範囲は裸眼と同じく180度まで見えます。
メガネフレームが邪魔をすることはないのでスポーツにも向いています。
レンズが曇らない
メガネと違い、コンタクトレンズはいつも目の中で濡れているので、湯気や湿気、温度差のある部屋の移動でも曇ることはありません。
左右の視力差も問題なし
視力に左右差がある場合、メガネだとモノの見え方に大小の差が出てしまいます。
コンタクトレンズでは、大きさが異なるような見え方にはなりません。
近視や遠視が強くてもモノの見え方は裸眼と等倍
近視や遠視が強い方は、メガネだとモノが小さくなったり大きくなって見えてしまいますが、コンタクトレンズなら裸眼のときと同じ大きさで見えるようになります。
コンタクトレンズのデメリット
コンタクトレンズもいいところばかりではではありません。
またメガネとの比較になってしまいますが、コンタクトレンズは高度管理医療機器でメガネとは安全面においてのリスクが大きいということを理解しておかなければいけません。
レンズを目に入れるということは異常な状態なんです。
正しい使い方、管理をしなければトラブルは全て自分に返ってくるということは忘れないでくださいね。
何歳から使えるのか
これはよく親御さんから質問を受けます。
はっきりいってこれには基準はありません。
使用者本人がレンズのつけはずしができて、正しい使い方が理解できれば子供でもOKです。
実際にぼくがレンズを合わせた事のある一番小さい子は小学3年生です。
ただし、小学生に合わせる場合は習い事でスポット的に使わせたいという親御さんが多いですね。
学校での日常使用などになると、中学や高校入学のタイミングや、運動系の部活動を始めるタイミングでコンタクトレンズにするケースが多いです。
コンタクトレンズは子供であろうが目を触れるのは本人だけですので、大人と同じ説明を理解してもらわないといけませんし、触れなくても大人がしっかりとフォローしてあげないといけません。
どんな種類のレンズを選べばいいのか
コンタクトにしたいけど種類は決めていないと来店される方も結構多いです。
全然悪いことではないので、お店で相談すればいいのですが、予備知識として解説していきます。
まずコンタクトレンズには、
があります。
ここまではだいたい皆さん分かってます。
そしてソフトコンタクトレンズの中をさらに分類すると、
- 従来型(コンベンショナル)ソフトコンタクトレンズ
- 1日使い捨てタイプ
- 定期交換タイプ(2週間、1ヶ月など)
があります。
ハードレンズの特徴
- 黒目より小さく硬いレンズ
- 瞬きによって動くので慣れないうちは異物感が強い
- 乱視の矯正に優れている
- 毎日の手入れが簡単
言葉の通り、硬いレンズが目の中を動くので、初めて装用したときは目を開けられない方もいます。
検査中も、前を見続けることが難しかったり、なかなか涙がおさまらない方もいます。
ぼくはだいたい慣れるまで1週間はガマンしてくださいねと伝えています。
親御さんの影響で、子供にも同じタイプのレンズをってことで、ハードにする子供さんもいますね。
硬いレンズなので、光をキレイに曲げることに優れていて、乱視というモノがダブってしまう方の矯正に効果を発揮することもあるので、視力の安定を求める方が選択されることがあります。
ケアには水道水が使えるのでソフトコンタクトレンズよりは取り扱いは簡単です。
ちなみに、ハードレンズには使い捨てタイプはありません。(たまに聞かれます)
ソフトレンズの特徴
- 黒目より大きく、柔らかいレンズで目に馴染む
- 素材に水分を含ませることにより柔らかく初めてでも慣れやすい
- 目にフィットすることで、ずれにくくスポーツ向き
まあとにかく柔らかいが正義になることが多く、ハードレンズとの付け比べをするとほとんどがソフトレンズを選びます。
子供のスポーツ目的ならソフトレンズを選ぶのが無難です。
目の乾燥が強い方は、裸眼時以上に素材に涙を奪われてしまうことから、乾燥対策が必要な場合があります。
水道水は使えず、1日使い捨て以外のレンズケアがいる場合は専用のケア用品が必要となります。
ソフトコンタクトレンズの中でも
従来型ソフトコンタクトレンズというのは、ハードコンタクトレンズと同様、レンズの使用期間の定めはなく管理次第で長く使えます。(目安1~2年)
最近ではほとんど合わせる機会はありませんし、これからコンタクトレンズを始めるという方には、衛生面からもおすすめはしません。
コンタクトレンズ初めての方にまずおすすめしたいのは、1日使い捨てタイプです。
なぜなら、レンズケアがいらず衛生的であること、とりあえず装着脱ができれば違和感も少なくコンタクトレンズライフをスタートさせることができます。
その次におすすめなのが、定期交換タイプ、2週間交換タイプなどです。
ケアは必要ですし、1日使い捨てと比較して衛生面では劣りますが、それでも2週間という期間が長すぎるわけでもないので、1日使い捨てタイプがだめなら、2週間定期交換型が良いと思います。
種類選びの結論
ハードレンズがいいかソフトレンズがいいかは、目の状態、視力の得られ方によって希望通りにいかないことがあるかもしれませんが、ソフトレンズが合わせられるのであれば、初めは1日使い捨てタイプ(ワンデータイプ)から覚えることをおすすめします。
コスト面を気にされる方は、2週間交換タイプ(ツーウィークタイプ)でもいいと思います。
コスト(費用)はどのくらい?
これからコンタクトレンズを使っていくのであれば当然コストがかかります。
そして日常使用であれば継続的なコスト(ランニングコスト)が必要です。
ハードコンタクトレンズ/
長期型ソフトコンタクトレンズ
ハードコンタクトレンズや長期型のソフトコンタクトレンズであれば1枚○○円で、トラブルがなければ年単位で使うこともできますが、破損や紛失、視力変化での早めの作り直しがあれば急な出費になることもあります。
1枚あたりの値段は店や種類にもよりますが、5,000円から15,000円くらいまであります。
1日使い捨てタイプ/定期交換型タイプ
1日使い捨てタイプであれば、1箱30枚入りで○○円。
2週間交換型タイプであれば、1箱6枚入りで○○円と表記されていることがほとんどです。
どちらも1箱あたりは、1,500円から5,000円くらいまでありますが、これは乱視用レンズだったり遠近両用レンズのような特殊レンズになるほど1箱あたりの価格は高くなります。
ちなみに、1日使い捨ては1箱30枚入りとすると、2箱で両眼1か月分になります。
2週間交換型タイプは1箱6枚入りということは、2箱で両眼3か月分です。
同じ3か月分にしようと思うと、1日使い捨てタイプは6箱必要となります。
1箱あたりの値段が同じだとすれば、1日使い捨てと2週間交換型だとレンズ代は3倍違うことになります。(1日使い捨て>2週間交換型)
実際には2週間交換型タイプにはケア用品代が加わるので、ここまでの差にはなりませんが、ぼくはおよそ2倍の差があることを伝えていますね。
ざっくりコストをまとめると
-
ハードコンタクトレンズ
1枚5,000円~15,000円ということは両眼2枚で10,000円~30,000円でトラブルなければ年単位で使える。(ケア用品代は別)
-
長期型ソフトコンタクトレンズ
ハードレンズと同じ、少しレンズ代は安い。
-
1日使い捨てタイプ
1箱30枚入りが1,500円~5,000円ということは、
2箱両眼1ヶ月分で3,000円~10,000円、
6箱両眼3か月分で9,000円~30,000円。
- 2週間交換型タイプ
1箱6枚入りが1,500円~5,000円ということは、
2箱両眼3か月分で3,000円~10,000円。
(ケア用品代は別)
こんな感じです。
レンズ素材の良し悪し
合わせるレンズのタイプが決まったら、そこからどのメーカーのレンズにするかを考えていかなければいけません。
しかし、どのメーカーを選択したらいいかわかんないですよね。
実際のところ、全てのレンズを目に入れて装用感を確かめてみたり、数日使って使用感を確認できればいいのですが、まずそんなことはできません。
だから、ある程度何をテストしてみるかは絞っていかないといけないわけですが、一つ注目して欲しいポイントがあります。
それはレンズの酸素透過率です。
レンズの装用感の良し悪しは、新しいレンズとか古いレンズとかに関係がなく、レンズデザインや個人の相性的なことがあるのでコレが絶対に良いということはわかりません。
ただし、素材の良し悪しに関しては、酸素透過率という明確な指標があるのでなるべくその上位のレンズから選択してあげるのがレンズ選びにおいて良いとぼくは思っています。
酸素透過率の重要性
コンタクトレンズは目に入れることによって壁を作ることになります。
裸眼のとき、黒目は大気中と触れ合っていることで黒目の奥にある細胞に酸素を供給しています。
黒目の奥にある細胞は角膜内皮(ナイヒ)細胞といいます。
コンタクトレンズが壁になってしまうと、酸素の供給量は当然下がってしまいます。
角膜内皮細胞は酸素が十分に行き届かないと死滅してしまいますが、他の部位の細胞とはことなり再生不可なんですね。
コンタクトレンズをしていなくても経年で減少していくものではあるのですが、コンタクトレンズの装用が角膜内皮細胞の減少の起因となることもあるということです。
角膜内皮細胞の減少は、将来黒目が濁ってしまい視力に関わる場合があるといわれています。
また、白内障などの手術が必要な際に、角膜内皮細胞の減少で手術不可となってしまう可能性もあります。
なので、各メーカーはコンタクトレンズの酸素透過率を高める努力をして現在では、かなり裸眼の状態に近いところまで数値を高めてきています。
裸眼のときでも、目が酸素を取り込んでいるなんていう自覚はないので、酸素透過率が高いということ=良い装用感、使用感ということにはなりませんが、どうせコンタクトレンズが初めてで違和感になれていかなければいけないなら、せめて酸素透過率は高いものを選んであげてください。
目のトラブルについて
コンタクトレンズは説明書どおり正しく使っていたとしても、トラブルを起こす可能性はあります。
まずこのことは頭に入れておいてください。
当然ながら、正しく使っていなければトラブルのリスクは高まります。
ではどんなトラブルが考えられるか。
一番に考えられるのは、衛生面のトラブルですね。
- 1日使い捨てを何日も使う
-
2週間交換型のケアをキチンとしていない
(ハードレンズでも同様)
不衛生な状態でコンタクトレンズを使用していると、まぶたの裏に障害を起こし、乾きやすい、目やにが増える、ゴロゴロする、かすむ、レンズがずれるといったアレルギー症状が出現したりします。
巨大乳頭結膜炎は、この業界で働いているといつも注意喚起されている病名で、上で説明したまぶたの炎症です、病名もおっかないですよね。
次に多いのは乾燥のトラブルです。
よく「乾かないレンズをください」と店に来られる方がいるのですが、はっきりいって乾かないレンズなんてありません。
厳密にいえば、ハードレンズは素材の水分がゼロなのでレンズ自体は乾かないのですが、コンタクトレンズは、装用することで自分の涙の層を薄くしてしまうので乾きやすい環境を作ってしまっています。
それに加えてソフトコンタクトレンズはレンズ素材が水分を必要とするので涙を吸い上げてしまいます。
目の乾燥における影響は、見え方のかすみ、装用の不快感などが挙げられます。
商品パンフレットをみると各レンズの乾燥対策のアピールが説明されていますが、ぼくははっきりとコンタクトレンズ使用には乾燥はつきものと説明しています。
ある程度、そう割り切って乾燥の影響がでないように予防するのが大事じゃないかなと思うわけです。
難しいことではなくて、乾く前に点眼をしてあげること、レンズを衛生的に使うこと、これだけのことなので、コンタクトレンズが初めての方には最初からこれが当たり前と思って使っていくことをおすすめします。
初めては絶対に眼科へGO!
いろいろお話してきたつもりですが、これらの話は当然眼科へ行けば聞ける話です。
ただし、現場でこれらすべての話をきちんとする時間はないのでどうしても簡単な説明になってしまうこともあります。
この記事を読んでくださっている方に、少しでも初めての疑問が解消できればというつもりで書いているんですが、逆にこの記事だけではじめからコンタクトレンズをネット購入するとかは絶対にダメです。
コンタクトレンズのネット購入は現在のところ、グレーゾーンと思ってもらえればいいのですが、コンタクトレンズが初めての方は絶対に眼科へ行ってください。
目の状態の確認、レンズ合わせ、レンズのつけはずし、レンズの取り扱い、これらはキチンと説明を受けておいてくださいね。
さいごに
少し長々となってしまいましたが、コンタクトレンズが初めての方に向けて書いてみました。
細かい1問1答みたいなこともあるのですが、上に書いたことが、現場でよく説明をする内容です。
コンタクトレンズが初めての方は、緊張もしてたりするでしょうし、その場での話をすべて覚えきって帰ることは難しいと思いますので、事前の準備と思って読んで頂けたらと思います。