検査員が教える!遠近両用コンタクトレンズの特徴、処方手順


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検査員が教える!遠近両用コンタクトレンズの特徴、処方手順

遠近両用コンタクトレンズをおすすめをするのは正直難しいところではあります。

 

理由としては、現場で遠近両用を合わせていても処方成功率というのは、普通に近視用や乱視用を合わせているよりも高くはないからです。

 

そして、この記事を読んでいる方は遠近両用コンタクトレンズを検討していたりする方なんだと思いますが、遠近両用のソフトレンズの特徴を把握しておかないと見え方に満足を得られなかったりします。

 

まずはっきりさせておきたいことがあります。

 

遠近両用のソフトコンタクトレンズは遠くも近くもはっきり見えるようにはなりません。

 

こんなことを言うと、やる気がなくなってしまうかもしれませんが、眼科にテストに来る方でものすごい高い期待値でやってくる方がいるのですが、こういった方が理想と現実のギャップでドロップアウトしてしまいます。

 

遠近両用のソフトコンタクトレンズにおいては、同時視型といってメガネやハードコンタクトレンズのように遠近の見え方を切り替えることはできませんので見え方の鮮明さが落ちます。

 

そうはいっても、もちろん見え方の幅は広がりますので、適応できる方のほうが当然多いのですが、過度な期待は持たないほうが精神的にラクですよーってことです。

 

知っておくべき遠近両用ソフトコンタクトレンズの特徴

先ほどもお話しましたが、遠近両用コンタクトレンズは万能ではありませんので過度な期待は禁物ということと、どんな方が適応しやすいかを挙げておきたいと思います。

 

適応しやすい方

  • 初期老眼症状があり、今の見え方に満足していない
  • 近視もしくは遠視で、乱視はない、もしくは軽度の乱視
  • 老眼鏡は使いたくない
  • すでに遠近両用は使っていて、他メーカーを試してみたい

 

初期老眼というのは、

  1. ピントを合わせるのに時間がかかる
  2. 近くにピントが合いづらい
  3. 近くにピントがあわない

とした場合の1の状態かぎりぎり2の状態くらいまで。

 

適応しにくい方

  • コンタクトレンズの経験がない
  • 乱視が強い
  • 老眼が随分進行している
  • 見え方の欲求度が高い、精密な視力が必要
  • 老眼鏡の見え方に満足している

 

コンタクトレンズデビューがいきなり遠近両用というケースを対応することは結構あるのですが、こういった方はだいたいが裸眼で遠くが見えている方ですので、遠近両用のソフトレンズにする場合であっても遠方視力が下がる覚悟が必要です。

 

遠近両用+乱視用というコンタクトレンズは現在のところ存在しませんので、乱視の影響が強い方にも適応しません。

 

遠近両用は見え方の幅を広げてくれますが、それ以上に遠くの見えやすい度数と、近くが見えやすい度数の差が大きければ対応しきれませんので、老眼が随分進行してからの適応は難しい場合があります。

 

冒頭にお話したとおり、遠くも近くもはっきりさせたいというレベルがあまりにも高い場合は不向きになります。

 

そのような見え方が必要な場合は、残念ながら、コンタクトレンズ+老眼鏡の方が、見え方の要望に応えられます。

 

加入度数ってナニ?

コンタクトレンズの規格は、遠近両用以外なら、

  • ベースカーブ
  • パワー
  • サイズ
  • 乱視度数
  • 乱視軸

 

これで決まります。

 

遠近両用になると、乱視度数、乱視軸が抜けて、

  • ベースカーブ
  • パワー
  • サイズ
  • 加入度数

 

これがレンズ規格になります。

 

加入度数は、表記としては+1.00とか+1.50、+200、+2.50などの+表記かLOW、MED、HIGHなどの英表記があります。

 

数字が大きいほど、またLOW→HIGHであるほど、見え方の幅を広げる度数が入ってますってことです。

 

で、ナニを基準にしているかといえば、遠方に合わせた度数に対して近くを見やすくする度数を加入するということです。

 

詳しくは省きますが、近くを見えやすくするためには遠くの視力を下げなければいけませんので加入度数を大きくすれば、それだけ見え方の幅は広がるのですが、コレが先ほどから何度も言っている見え方がはっきりしなくなる原因にもなります。

 

視力計で考えてもらえればいいと思いますが、5メートル離れた視力計で、あなたは視力1.5で矯正しているとします。

 

その状態から矯正度数を下げて1.0に下げたとします。

 

見えにくく感じると思います。

 

そして遠近両用のソフトレンズはこの2つの視力が織り交ざった状態で見える景色になるんです。

 

イメージできますか?

 

加入度数を大きくするということは、1.0の部分が0.7や0.5に下がることと思っていただければいいです。

 

つまり、遠近両用のソフトレンズというのは、たとえ遠くの視力を1.5に合わせたとしてもそれだけの視力で遠くを見ることはできず、加入度数で下げた弱い視力が混ざってくるのでそれが見え方のボヤケになります。

 

逆に近くも加入度数を加えた分だけ見えやすくなりますが、1.5の遠くに合わせている度数が多少の邪魔をしてくるのでボヤケが入ってきます。

 

もちろんどちらもなんとなくみえる状態ではありますので、この質の見え方に満足できる方には幅広く見えるレンズとして適応できます。

 

初めて遠近両用にチャレンジする場合

あなたが初めて遠近両用のコンタクトレンズにチャレンジしようと思うなら、基本的なレンズの合わせ方を知っておいてもいいかもしれません。

 

あわせる手順

  1. 単焦点レンズで遠くに対して完全矯正をする
  2. 優位眼(利き目)を確認
  3. 遠近両用レンズを装着し、両眼視で調整をする

 

まずは、いきなり遠近両用レンズ(多焦点)を入れるのではなく、単焦点レンズで遠くの見え方において無駄なく一番良い見え方を確認します。

 

コレをちゃんとやってくれない検査員がいるようなら気をつけてくだいね。

 

あと、細かい調整の際に必要になってくるのが優位眼の確認です。

 

利き目ってやつですね。

 

このあとの遠近両用レンズのテストで加入度数をずらしたりする調整が必要なときに活かしたりします。

 

そしていよいよ遠近両用のレンズテストです。

 

ファーストチョイスは最初に完全矯正した度数に、加入度数は一番小さい+1.00とかLOWからテストしていきます。

 

簡単に言うと、これで遠方視力が満足できなければほぼ適応できません。

 

なぜならここからの調整は、どれだけ低矯正にもっていけるか、だからです。

 

遠近両用レンズとして一番遠くが見えるはずの度数から装着をして、近くの見え方が悪い場合、どんどん度数を下げていったり、または加入度数を大きくしていったりすることが調整になるのでここらへんは検査員の腕にもよります。

 

このあたりの説明をきっちりしてくれる検査員にあたることを願っています。

 

さいごに

遠近両用ソフトレンズの処方成功率は70~80%くらいです。

 

すごい説明の量は増えますが、最終的に見え方の満足が得られるかどうかはやってみないとわかりません。

 

検査員としては、全力で頑張るんですけど、何度も言うようにあまり過度な期待をしないぐらいでテストするのがちょうどいいと思います。

 

あと、ダメなときははっきりダメといってもらえる方がありがたいですね。

 

こちらも覚悟はしているので無理やり購入する必要はありません。

 

次回以降で、おすすめのレンズを紹介していきます。